【5月7日 AFP】(一部更新)米シカゴ(Chicago)市議会は6日、シカゴ市警が1972年~91年に組織的に行っていたとされる拷問の被害者に対し、総額550万ドル(約6億6000万円)の賠償金を支払うことを承認した。地元紙シカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)が報じた。

 当時のジョン・バージ(Jon Burge)署長の下では、アフリカ系男性を中心に最大100人が拷問を受けたとみられている。ラーム・エマニュエル(Rahm Emanuel)市長は「過ちを正し、汚点を取り除く重要な一歩」だと述べた。

 被害者の多くは市内の貧困地区サウスサイド(South Side)の出身。市当局は数十年にわたって被害者らの訴えをはねつけてきたが、賠償金の支払いに伴い、正式に謝罪を表明した。また、カウンセリングや地元大学の学費免除などの対応も検討している。

 人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルUSA(Amnesty International USA)によると、容疑者として身柄を拘束された被害者たちに対しては「性器や他の体の部位への電気ショック、窒息、模擬処刑、殴打などの恐ろしい虐待が行われていた。担当警察官は全員白人で、虐待の最中には人種差別的な侮蔑語が浴びせられることが多かった」という。

 米警察としては異例の賠償金支払いと謝罪は、米国内で少数派コミュニティーに対する警察の対応に注目が集まる中で決定された。米国では昨年来、武器を持たない黒人男性が警官に殺害されたり、拘束下で死亡したりする事件が相次いでおり、複数の大都市で大規模な抗議デモに発展している。(c)AFP