【5月6日 AFP】現代の鳥類への進化は、これまで考えられていたより600万年早かった可能性があるとの研究結果を6日、中国の古生物学者チームが発表した。これまで存在を知られていなかった先史時代の近縁種の化石を分析して得られた結果だという。

 中国北東部河北(Hebei)省で約2年前に化石が2個発見されたこの絶滅種は、真鳥形類(Ornithuromorpha)の系統に分類される、知られている中で最古の種だ。現生鳥類の新鳥類(Neornithes)も、この系統から派生した。

 論文共同執筆者の一人、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の王敏(Wang Min)氏は、AFPの電子メール取材に「この新発見の化石は、真鳥形類の最古(約1億3070万年前)の記録を示すものだ」と語る。

「これにより、真鳥形類が発生した年代は500万年以上さかのぼる」ことになり、現生鳥類の分岐も、ほぼ同じ年代分だけさかのぼることになる。

 これまで知られている中で最古とされていた真鳥形類の一例は、約1億2500万年前に生息していたものだった。

Archaeornithura meemannae」と命名されたこの新種の鳥は、想像復元図によると、翼の先に小型の鋭い爪がある点以外は、近縁種である現代の鳥と多くの特徴が共通している。

 2本足で立った状態の体長は約15センチで、脚に羽毛はない。これは、湖の岸辺に生息し、浅瀬を歩いていた可能性があることを示唆している。

 歯を持っていたかどうかは、化石が不完全なために判明しなかった。歯を持つことは、中生代の時代区分の一つである白亜紀初期に生息していた鳥類に共通してみられる特徴だ。

 王氏によると、一部の現生鳥類と同様に、胃の中で種などの固い食物をすりつぶすための石である胃石(いせき)を使っていた可能性があり、草食性だった可能性が高いという。

 想像復元図では、紫色の羽冠が特徴的に描かれている。

 真鳥形類は、約2億5200万年前から6600万年前まで続いた中生代に生息していた鳥類種の約半数を占めていたと考えられている。その一部は、現存する鳥類に進化した。

 歯と爪のある翼を持っていた、エナンティオルニス類(Enantiornithes)などの中生代に生息していた他の鳥類種は、現存する子孫を残していないと考えられている。

 中生代の鳥類の化石は数が非常に少なく、鳥類の初期進化史についてはほとんど解明されていない。

 鳥類の知られている中で最古の近縁種は、始祖鳥(Archaeopteryx)と考えられている。始祖鳥は、約1億5000万年前に生息していた羽毛を持つ飛行しない恐竜からの過渡的な種とみなされている。(c)AFP