【4月28日 AFP】第2次世界大戦時に旧日本軍のための「性奴隷」にされたと主張する韓国人の李容洙(Lee Yong-Soo)さん(87)は、戦後70年の節目に行われる、日本の首相による歴史的な米議会演説を前に、ただひとつ求めているものがある──謝罪の言葉だ。

「この問題を解決するまで、私は死ねない」。小柄な李さんは23日、米議会で記者団にかすれた声で語った。「私は気高いコリアの娘。慰安婦ではない」

 安倍晋三(Shinzo Abe)氏は、29日に米国の上下両院合同会議での演説を日本の首相として初めて行う。これに対し抗議団体らは、安倍首相が過去の日本政府や旧日本軍による行為について謝罪するよう求めている。

「下院の本会議場は米国の歴史において神聖な場所だ」と、慰安婦問題ワシントン連合(Washington Coalition for Comfort Women IssuesWCCW)のジュンシル・リー(Jungsil Lee)代表は述べ、「安倍氏が第2次世界大戦中の人道に対する罪での日本政府のかかわりを認め、すべての犠牲者に直接、真摯な謝罪を行う上で、米議会に勝る場所はない」と話した。

 米民主党のマイク・ホンダ(Mike Honda)議員をはじめとする24人の下院議員は23日、駐米日本大使宛てに、安倍首相の演説が「歴史問題に取り組むことによって、和解へ向けた土台を築く」ものになるよう求める書簡を送った。下院外交委員会(House Committee on Foreign Affairs)のエド・ロイス(Ed Royce)委員長が署名したこの超党派の書簡は慰安婦については触れていないが、謝罪を求める声と一致するものとなっている。

 李さんは、推定20万人以上とされる慰安婦のなかで分かっている存命者53人のうちの1人だ。「被害者たちは一人ずつ亡くなっていっている」とジュンシル・リーさんはコメントしている。

 李さんは1944年、16歳のときに自宅から日本兵に誘拐されたと主張する。悲惨な船旅を生き抜いてたどり着いた台湾では、旧日本軍の慰安所で2年間にわたり性的な行為を強制され、殴られ、電気ショックによる拷問を受けたとしており、「死んだも同然だった」と話している。

 李さんは「歴史の生き証人として安倍氏の前に立つ」ことが目的としており、「目を見開いて、私を見て」と伝えたいとしている。(c)AFP/Michael Mathes