【4月24日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は23日、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯で1月に行われた対テロ秘密作戦で、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の人質になっていた米国人とイタリア人計2人を誤って死亡させたと発表し、自らその悲劇の「全責任を負う」と述べた。

 同作戦では、アルカイダの米国人幹部1人が死亡。さらにまた別の攻撃で、同組織の英語担当報道官を務め、2006年に米大陪審が国家反逆罪で起訴した米国人のアダム・ガダーン(Adam Gadahn)被告も死亡したとしている。オバマ大統領は作戦の詳細についてはほとんど明かさなかったが、政府関係者らはパキスタン国内にあるアルカイダ施設に対する無人機攻撃だったと示唆している。

 これまで機密扱いとされていた事実を公表したオバマ大統領は、亡くなった米国人経済アドバイザーのウォーレン・ワインスティーン(Warren Weinstein)氏(73)とイタリア人援助活動家のジョバンニ・ロポルト(Giovanni Lo Porto)氏(39)の遺族に対し、「心からの謝罪」を表明。

 オバマ大統領はまた、イタリアのマッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)首相に人質死亡の事実を直接伝えたことも明かした。イタリア外務省は2人の死を「同盟関係にある米国による悲劇的で取り返しのつかない誤り」だったと表現したものの、一切の責任は「テロリストら」にあるという見解を示した。

 オバマ政権の対テロ作戦は、これまでにも論争を巻き起こしてきた。これまでに奇襲作戦でアルカイダ指導者ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者を殺害した一方で、多くの場合において、秘密裏に行われる無人機攻撃に大きく依存してきた。

 同大統領は「この作戦はアルカイダの危険なメンバーらの排除に寄与していることも事実だ」と述べ、対テロ作戦の成果を強調した。(c)AFP/Andrew BEATTY