【4月21日 AFP】欧州連合(EU)のフェデリカ・モゲリーニ(Federica Mogherini)外交安全保障上級代表は20日、欧州を目指す難民を乗せた船の遭難が地中海(Mediterranean Sea)で相次いでいることを受け、加盟各国に対し手をこまぬいている「これ以上の言い訳は許されない」と訴え、拡大する一方の難民危機に対応する行動計画を発表した。

 過去2週間、欧州南部沿岸には戦争や生活苦を逃れようとする難民らが殺到している。その多くは紛争に見舞われているリビアを経由している。

 そのリビア沖で19日、多数の難民が乗っていた漁船が転覆し、700人以上が死亡したとみられている。生存者の中には、同船に1000人近くが乗っていたことを示唆している人もいるという。この惨事から一夜明けた20日、EU各国の外相・内相の合同会合がルクセンブルクで開かれ、欧州への難民の流入を食い止める方法について協議した。

■規制と救助体制を強化へ

 10項目からなる行動計画を発表したモゲリーニ氏は、EUが「危機への対応時にわれわれが一貫して見せてきた欧州全体としての切迫感を示す」必要があると述べた。

 さらに同氏は、「(難民を)送還すればそれは別の形で殺害するのと同じだ」と指摘し、難民に対してもEUの人道的価値観と連帯心にならって行動しなければならないと呼び掛けた。

 行動計画の第1の項目として各国外相・内相らは、EU国境の管理作戦「トリトン(Triton)」を強化し、その適用範囲と権限をEU南岸にも拡大していくことで一致した。

 欧州委員会(European Commission)によると、EUは密航業者らの船舶の拿捕(だほ)や破壊を進めるとともに、加盟国間の連携も強化していくという。

 さらにEUは、「保護を必要とする人々に生活の場を提供していく、(難民らの)再定住化を促す有志による実験的プロジェクト」にも着手するとしている。難民問題の影響をあまり受けてこなかった国々はこれまで、たとえ小規模でもこういった形での負担の分担を拒否してきていた。外交筋は、そのような再定住地は最大5000か所程度になるとしているが、欧州委員会は具体的な数には触れていない。

■23日に緊急首脳会議開催

 欧州理事会(European Council)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)常任議長(EU大統領)は、「このようなことを続けているわけにはいかない、何百人もの人々が犠牲になっている事態を容認できない」と述べ、23日に緊急首脳会議を開催すると発表した。

 この問題の最大の影響を受けているイタリアのマッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)首相は、リビアに拠点を置く密航業者らに的を絞った「限定介入」に踏み切る可能性について、同国が検討していることを明らかにしている。(c)AFP/Bryan MCMANUS with Angus MACKINNON in Rome