■海底の「目」

 DARPAは、画期的な実験を通じてインターネットやステルス機、無人機、誘導爆弾(スマート爆弾)、マイクロ技術などの開発に貢献してきたことで知られる。

 現在力を入れている海事研究には、海底に「スパイの目」を設置するというプロジェクトもある。この「DASHDistributed Agile Submarine Hunting)」システムは可動式と固定式の2種類を検討中で、米軍が他国の潜水艦を探索する「海中における偵察衛星」の役割を果たすことが期待されている。

■「海のハンター」

 DARPAで開発中のプログラムのうち、近く実用化される可能性があり対潜水艦戦(対潜戦)を様変わりさせるとみられているのが、対潜無人船舶システムだ。海上に無人の「幽霊船」を配備し、敵の潜水艦を追跡させる。これにより、現在この任務を担う海軍艦船を他の任務に回せるようになる。

 潜水艦の探索は、時間も費用もかかることで知られる。特にディーゼル潜水艦は、動力機関の駆動音が非常に静かで探知が困難だ。「ACTUV(Anti-submarine Warfare Continuous Trail Unmanned Vessel)」と呼ばれるこのプロジェクトが成功すれば、海軍のあり方を根本から大変革させるだろうと米当局者は語る。

「ACTUV」プロジェクトでは、船体全長約40メートルのロボット船舶「シーハンター(Sea Hunter)」を開発中だ。先日、ミシシッピ(Mississippi)州沖の海上でやや小型の実験用船舶を使って実施された6週間の試験では、1度も衝突することなく合格した。次の試験ではフルサイズ模型を使って、1キロ先の船舶を追尾する性能を確認する予定で、DARPAとしては今秋にも米海軍の協力を得て実施したい考えだ。

「ACTUV」は現行の潜水艦に比べて機動にかかる費用が安上がりで、しかも敵の潜水艦を効率よく追跡できる可能性を秘めている。DARPAのウォーカー副局長は、「費用方程式をひっくり返す」システムだと述べている。(c)AFP/Dan DE LUCE