【4月11日 AFP】スペインの司法当局は10日、誘拐や殺人、ユダヤ系商店や公共施設を狙った攻撃などを企てたとして、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamis StateIS)」と関連のある組織のメンバー11人を同国北東部のカタルーニャ(Catalonia)地方で今月8日に逮捕したと発表した。

 逮捕された容疑者の中には女1人と17歳の未成年1人も含まれている。現在、首都マドリード(Madrid)の判事が逮捕された11人を取り調べている。

 スペイン全国管区裁判所のサンティアゴ・ぺドラス(Santiago Pedraz)判事は10日、逮捕された容疑者のうち10人がISと関連がありスペイン国内でISの戦闘参加者を募っているイスラム過激派組織のメンバーであり、もう1人は武器と爆発物の所持容疑で逮捕されたことを書面で明らかにした。

 捜査当局者がAFPに語ったところによると、逮捕された11人は、スペイン国内で誘拐を行い、ISをまねたオレンジ色の囚人服を着せて尋問し、喉を切りつけて殺害する場面を収録した動画を公開する計画を立てていた。また銀行の重役を身代金目的で誘拐する計画も話し合っていたという。

 裁判所は「テロ容疑」の7人の勾留を延長し、3人は処分保留で釈放した。17歳の容疑者は少年勾留施設に送られた。

 当局者によると、容疑者のうち5人はモロッコ人、5人はスペイン人、1人はパラグアイ人で、この組織はこれまで少なくとも4人を集め、ISがカリフ統治領を宣言したシリアとイラク国内に戦闘員として送り込んでいた。

 また、捜査関係者が明かしたところによると、ペドラス判事が書いた書面には、組織を設立した「ヘアドレッサーのアリ」ことアントニオ・サエス・マルティネス(Antonio Saez Martinez)容疑者が他のメンバーに対し、バルセロナ(Barcelona)のユダヤ系書店の襲撃は近いと話していたと記されていたという。

 マルティネス容疑者は他にも、シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)に対する銃と手りゅう弾を使った攻撃や、治安部隊やカタルーニャ地方議会への攻撃などを企てていたとされている。

 同容疑者の携帯電話には、他にもバルセロナ市内のホテルや警察署、ショッピングセンターなど、攻撃対象候補地の写真が残されていたという。フランスのパリ(Paris)で今年1月にイスラム過激派による襲撃事件で17人が死亡したことを受けてスペインは治安対策を強化しており、今年これまでに昨年1年間より5人多い約40人のイスラム過激派を逮捕している。(c)AFP/Anna CUENCA