【4月6日 AFP】「さあ立て。祈り、悔いるのだ」──トルコ人報道写真家のブンヤミン・アイギュン(Bunyamin Aygun)さんは、男にこう告げられた。「明日、おまえを斬首刑に処する」

「私にはまだ先の人生があった」と当時の心境を振り返ったアイギュンさん。「目を閉じるたび、自分がどのように処刑されるのか夢に見始めた」という。

 トルコ紙ミリエト(Milliyet)の報道写真家で受賞歴もあるアイギュンさんは2013年11月、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に拉致され、40日間拘束された。

 自身の体験を記した書籍「40 Days at the Hands of IS(ISの手中で過ごした40日間)」の中で、拉致犯らとの間に生まれた複雑な関係についてつづっている。「書いていなければ、仲間を裏切ることになった」。トルコ・イスタンブール(Istanbul)にあるミリエト本社でAFPのインタビューで、アイギュンさんはこう語った。

 拘束されていた間、終始、目隠しされ、両足をロープで縛られていた。もう二度と家には戻れないのではないかと、何度も不安にかられたという。「あの40日間は40年のように感じた。私はISIS(ISの別称)の捕虜だった」

 アイギュンさんは13年11月25日、イスラム過激派集団の取材をするためサルキン(Salkin)の町に向かう途中、欧米諸国が支援するシリア反体制派組織「自由シリア軍(Free Syrian ArmyFSA)」の司令官とともにISに拘束された。

 自分が処刑されることを告げたのは、アイギュンさんが拘束中に親しくなり、「ダイ」(トルコ語で「おじさん」の意)と呼ぶようになった男だった。ダイは食べ物や飲み物を毎日持って来てきては、希望を与えてくれるようなことを話してくれた。

 男は「おまえを救いたいが、残念ながらできなかった。カディ(イスラム法の裁判官)がおまえの処刑について裁定を下した」と話した。