【4月3日 AFP】中国で経済的に豊かな人が増え、新しい海外旅行先を見つけようという動きが広がる中、大勢の中国人が太平洋の島国パラオを訪れている。しかし必ずしも歓迎されてはいないようだ。

 今年2月にパラオを訪れた観光客の62%近くが中国人だった。2014年1月より16%も多い。パラオの人たちはこの急増ぶりに当惑している。

 四川(Sichuan)省成都(Chengdu)のIT企業社長トゥ・チュアン(Du Chuang)さん(46)は、中国の富裕層はだれもが行くような決まりきったパッケージツアーよりも冒険的な旅行を好むようになっているのだと言う。

 トゥさんも最初は中国の海南島(Hainan Island)に旅行していたが、次はタイへ、その次はモルディブへ行き先と変えていった。パラオの島々を上空から眺めることができる1400ドル(約17万円)のヘリコプターツアーを家族と一緒に楽しんだ時に撮った写真を携帯電話で見せながら、「ここのサンゴは(海南島の)三亜(Sanya)より美しい」とトゥさんは言った。

 ホテルも中国人観光客の予約でいっぱいだ。AFPが取材に行った際、コロール(Koror)島の「シー・パッション・ホテル(Sea Passion Hotel)」は全75部屋中74部屋が中国人に占められていた。

 ビーチでは日焼けをしないようにボディースーツで全身を覆った中国人女性が、夫やボーイフレンドと一緒に携帯電話でセルフィー(自分撮り)をしている。灰色の巨大都市に住んでいる中国の友人に送るのだろう。

 上海(Shanghai)から来たチア・イーシン(Jia Yixin)さん(30)は、オンラインで見つけたパラオ6日間の旅に1133ドル(約13万5000円)払うのを少しもためらわなかった。「ここはまるで楽園。上海の空気は汚染されているけど、ここの人たちは環境を大事にしている」と彼女は言う。

 皮肉にも、中国人観光客の急増による環境汚染がパラオの多くの住民にとって一番の心配事になっている。