【3月31日 AFP】ドイツ格安航空会社ジャーマンウイングス(Germanwings)9525便をフランスのアルプス(Alps)山中に意図的に墜落させたとみられているアンドレアス・ルビッツ(Andreas Lubitz)副操縦士(27)は、「数年前に」自殺傾向があると診断されていたことが分かった。独検察当局が30日、発表した。ただ、最近はより安定した状態にあったという。

 独仏の捜査当局が動機の解明を目指す中、ルビッツ副操縦士が神経科医や精神科医らによる治療を受けており、医師らが勤務先に病欠を届け出るための診断書を過去に何度も出していたことが明らかになった。

 しかし独西部デュッセルドルフ(Duesseldorf)検察当局のラルフ・ヘレンブルック(Ralf Herrenbrueck)報道官は医師らの話として、最近の同副操縦士には自分や他人を傷つける意図を示す兆候はみられなかったとしている。

■「器質性障害」はなし

 ヘレンブルック報道官は、ルビッツ副操縦士の動機をめぐる推測が飛び交っている状況を批判。独当局は「臆測」に加担しないと述べ、世界で起きている過熱報道にくぎを刺した。

 また、医療文書と知人の証言からは、同副操縦士が誰かに計画を話していたり遺書を残したりしていることは示されていないという。同報道官によると、「動機となり得るものの明確な証拠を提示する特定の事情は、(ルビッツ副操縦士の)公私いずれの環境にも確認されていない」。さらに、どの医療ファイルからも「器質性障害」につながるものは見つかっていないとしている。

 一方で同報道官は、同副操縦士が数年前、つまり2013年に操縦士の資格を取得する以前に、「自殺傾向があるとの診断により長期にわたって」心理療法を受けていたことは認めた。しかし最近医師らは、24日の同機墜落を示唆することは見出していなかったとしている。

 これまでの報道では、同副操縦士が重度のうつのため服薬していたことや、視力の問題を抱えて治療を受けていたことが伝えられている。視力の問題は、操縦士資格の剥奪にもつながりかねない網膜剥離だった可能性も浮上している。(c)AFP/Estelle PEARD with Deborah COLE in Berlin