【3月27日 AFP】高い致死性を示すエボラウイルスへの開発中のワクチンが、サルを用いた実験で有効な予防効果を示した。研究論文が26日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 米ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison)などの研究チームが発表した論文によると、このワクチンは、ウイルスの一部ではなく、全体を不活性化したものを基にして作製されているという。この種のワクチンは、広範囲の免疫反応を誘発する可能性が高い。

 同大から発表された声明には「新型ワクチンは、他のエボラワクチンとは異なる」と記されており、「エボラウイルスのタンパク質と遺伝子を全て備えた不活化全ウイルスワクチンとして免疫系に作用することで、さらに高い予防効果がもたらされる可能性がある」としている。

 新型ワクチンを構成する実験的な基盤は、エボラウイルスの増殖に不可欠なタンパク質を作るために必要となる主要遺伝子を取り除くことで、研究者らが同ウイルスを用いた研究を安全に行えるようにしたものだ。エボラウイルスは遺伝子を8個しか持たない。

 論文執筆者で、ウィスコンシン大マディソン校のウイルス専門家、河岡義裕(Yoshihiro Kawaoka)氏は「このワクチンは優れた予防効果をもたらす」とその有効性について述べている。

 試験は、米モンタナ(Montana)州にある最高レベルのバイオセイフティーを誇る実験施設「米国立衛生研究所(US National Institutes of HealthNIH)」のロッキーマウンテン研究所(Rocky Mountain Laboratories)で行われた。マカク属のサルを対象としたもので良好な結果が得られたという。

 全体を不活性化したワクチンについてはこれまでにも、ポリオ、インフルエンザ、肝炎などの重症感染症の予防に成功していると声明は述べている。

 マカク属のサルはエボラウイルスに非常に感染しやすいため、「(この種の動物で)予防効果が得られれば、ワクチンが有効に機能しているということだ」と河岡氏は指摘した。

 エボラウイルスの認可ワクチンはまだ存在しないが、現在2種類の試験的ワクチンの開発が進められている。英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKlineGSK)のChAd3と、医薬品大手メルク (Merck)とニューリンク・ジェネティクス(NewLink Genetics)のVSV-EBOVだ。どちらも人間を対象とする安全性試験に合格している。(c)AFP