■コックピット内は「完全な静寂」

 ビルト紙によると、その後、誰かが操縦室に戻るためにドアを開けようとしているような大きな音と、機長が「頼むからドアを開けてくれ」と叫ぶ声や、乗客の悲鳴が聞こえた。

 ロバン検察官によると、機長が次第に必死さを増してドアを打ち破ろうと試みる一方で、ルビッツ副操縦士からは何の反応もなかった。

 ビルト紙によると、10時35分、操縦室のドアに対する「大きな金属の打撃音」が聞こえた。その約90秒後に、別の警報が作動。高度5000メートル付近で、機長は「ドアを開けろ」と叫んだ。

 10時38分、ビルト紙によると、ルビッツ副操縦士は無言のまま、呼吸音だけを発していた。ロバン検察官は「彼は一言も発しなかった。完全な静寂だ」と話している。

 10時40分、機体は山腹に衝突し、乗客の叫び声が聞かれた。ビルト紙は、これが録音されていた最後の音だったとしている。

 ロバン検察官によると、同機は高度約1万~1万2000メートルから2000メートルまで徐々に降下したため、乗客は事態に気づいていなかったとみられる。「犠牲者らは、最後の瞬間になって初めて気がついたと思う。悲鳴が聞こえたのは、衝突の直前だった」という。(c)AFP