【3月26日 AFP】スウェーデンの王立学士院が編さんする辞書に、4月から新たに「性別に中立」な代名詞が掲載されることになった。同辞書の編さん者が24日、明らかにした。

 スウェーデン・アカデミー(Swedish Academy)によるスウェーデン語の辞書「SAOL」の最新版には、1万3000語の新語が追加される。その中で、従来からある代名詞「han(彼)」「hon(彼女)」と並んで新たに掲載されるのが、「hen」だ。

 代名詞「hen」は、指し示す相手の性別が不明だったり、トランスジェンダーだったり、話し手や書き手が性別を余計な情報だと考えたりした場合に、対象となる存在の性別を明示することなく使うことができる。

 編さんチームのストゥーレ・ベリ(Sture Berg)氏は、AFPの取材に対し「この代名詞を使用する人々にとっては、SAOLに掲載されている事実が強みとなるだろう」と述べた。

「hen」は1960年代に、「han」の多用が不適切とみなされるようになったことから生まれた造語。言語を簡素化しつつ「han/hon(彼または彼女)」という分かりにくい用語を回避する目的で考案されたが、定着しなかった。しかし、2000年頃に小規模なトランスジェンダーのコミュニティーで再び使われるようになると、この数年間で一般化。現在では公文書や裁判の判決文、報道記事や一般文書でも見られるようになった。

 SAOLは10年ごとに改訂され、使用頻度や妥当性を基準に新語が追加される。最新版は4月15日に発売予定。(c)AFP