【3月24日 AFP】イエメンのイスラム教シーア派（Shiite）の民兵組織「フーシ（Huthis）」は23日、同国南部に増援を送り、地元の戦闘員らと衝突した。これに先立って国連（UN）は、同国が長い内戦に突入しようとしていると警告している。

 複数の治安筋によると、フーシは数千人規模の部隊を南部に派遣し、そこで地元のスンニ派（Sunni）の戦闘員らと衝突。フーシは、先月首都を離れたアブドラボ・マンスール・ハディ（Abd-Rabbo Mansur Hadi）大統領がいる南部の主要都市アデン（Aden）に照準を合わせている。

 サウジアラビアと国境を接し、米国と長く同盟関係にあるイエメンでは、イランから支援を受けているとされるフーシが掌握する北部と、ハディ大統領の支持者らが占める南部との分裂が深まりつつある。

 20日には首都サヌア（Sanaa）で自爆攻撃が相次ぎ142人が死亡、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国（Islamic State、IS）」が犯行声明を出した。この事件をはじめ、同国の治安悪化が進んでいることを国際社会は危惧しており、国連安全保障理事会（UN Security Council）は22日に緊急会合を開いた。

 同会合では15理事国が全会一致でハディ大統領への支持を表明。国連のジャマル・ベノマル（Jamal Benomar）特使は直ちに行動を起こさなければ「さらなる暴力と混乱」に陥ると警告した。カタールからテレビ会議システムを使って同会合に参加したベノマル氏は、「（最近の動向からは）イエメンが内戦に向かっているようだ」として、危機的な事態が長期化して「リビアとシリアを足したようなシナリオ」になる恐れがあると懸念を示した。

 フーシは昨年9月にサヌアを掌握し、以後その支配領域を拡大している。その際ハディ氏の支持者や国際テロ組織アルカイダ（Al-Qaeda）を含むイスラム教スンニ派グループと衝突している。

 治安筋によると、22日に同国南部の要衝タイズ（Taez）の空港を掌握したフーシはアデンに迫りつつあるという。ただ地元戦闘員らとの夜間の衝突で、フーシの2つの部隊が撃退されたという情報もある。(c)AFP/Hammoud Mounassar