世界の一歩先を行く、東京のメンズファッション
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■国際的な成長に向けて
ファッション業界はこうした事態を打破すべく、東京都の支援を得て、「東京ファッションアワード(TOKYO FASHION AWARD)」を設立した。渡辺淳弥(Junya Watanabe)や「コム デ ギャルソン(Comme des Garcons)」創業者の川久保玲(Rei Kawakubo)といった先導者に続くブランドを育てるためだ。
審査員らは、世界で活躍できる将来性が見込まれる6つのブランドを選出したが、ほとんどがメンズウェアのブランドだった。受賞者らは今年、パリ・ファッションウィークでショールームを開催し、21日に東京で15/16年秋冬コレクションを発表した。
受賞ブランドは「sheep boy」をテーマに、村上春樹(Haruki Murakami)の小説から着想を得たコレクションを発表した有働 幸司(Koji Udo)が手がける「ファクトタム(FACTOTUM)」から、未来的なカラーを取り入れたクリエーションを発表した柳川荒士(Arashi Yanagawa)手がける「ジョン ローレンス サリバン(John Lawrence Sullivan)」まで多岐にわたった。
日本ファッションウィーク推進機構(Japan Fashion Week Organization)の国際ディレクター、信田阿芸子(Akiko Shinoda)さんは、「これらのブランドは東京ではとても有名ですが、今後は海外にも出ていかなくてはなりません」と語る。信田さんによると、彼らの成功を妨げているのは、売上に対する意識の低さと英語が喋れる人が少ないことだという。
有働は日本が「ストリートファッションを超えたデザインを発展させる」必要性を率直に述べたものの、自身の服が日常着として魅力的であることに自信を見せた。「日本のメンズファッションで特筆すべき点は、欧米のファッションブランドの服と違い、それが本当にストリートで着られるということです」と、ショーの後、AFPの取材に対し有働は語った。
「ユナイテッドアローズ(United Arrows)」のバイヤーで、東京ファッションアワードの審査員も務めた小木 "Poggy" 基史(Motofumi "Poggy" Kogi)氏は、日本のファッション界では熟練の職人とテキスタイルの製造業者の強固な協力関係も重要だと語る。「日本は大量生産を受け入れてきましたが、細かいディテールにも気を配ってきました」
こうしたディテールへの配慮は、日本を訪れる外国のバイヤーの間でも賞賛される点であり、服装や身だしなみに対する男性の関心が高まるにつれ、東京の先進的なスタイルは一層重要性を増しているという。
ニューヨークのサックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)のヴァイス・プレジデントで、メンズウェア、ホーム、ビューティー部門のファッション・ディレクターを務めるエリック・ジェニングス(Eric Jennings)氏は、米国ではメンズウェアが前例のない成長を遂げたと語る。「おそらく男性がこれほどまでファッションを受け入れ、自分たちのワードローブをアップグレードしている時代は初めてではないでしょうか。彼らは不況を抜け出し、女性をしのぎつつあります」とジェニングス氏は初めて訪れた東京の地で語った。「トレンドは日本で始まり、ヨーロッパからアメリカへと移っていきます。ですからこれが私にとって一歩先のスタイルということです」(c)AFP/Rachel O'BRIEN