【3月21日 AFP】アラブ系と非アラブ系の部族対立が続くスーダン西部ダルフール(Darfur)地方で、両グループの武装組織による衝突により、死者が発生した。両部族の指導者は20日、AFPの電話取材に応じたが、両者の言い分は異なっている。

 北ダルフール(North Darfur)州の州都エルファシェル(El Fasher)北方のマリト(Mallit)地区では、重火器による戦闘が続いている。アラブ系の部族、ザヤディヤ(Zayadiya)の指導者、アブダラ・ジェズ(Abdallah Jezu)氏はAFPの電話取材に対し、非アラブ系部族のベルティ(Berti)に村落を襲撃され、6人が死亡、13人が負傷したと語った。襲撃は19日から続いているという。

 一方、ベルティ側の指導者、マク・アーメダエ(Al-Mak Ahmedaye)氏は同じくAFPの電話取材に、最初は17日にザヤディヤ側がベルティの村落を襲い、複数の村落を焼き払ったと述べ、ベルティの13人が死亡したと語った。

 両者とも先に攻撃を仕掛けたのは相手側だと主張し、交戦が始まった理由には触れていないが、ダルフールでは土地や家畜をめぐる部族間衝突が常態化している。

 AFPが電話取材した目撃者は、少なくとも20体の遺体を目にしたと語ったが、どちら側の死者かは不明だという。また襲撃では両者とも重火器を用いていたと証言した。

 ダルフールでは2003年に、アラブ系中心の政府に疎外されているとして反発した黒人系住民が蜂起して以来、衝突が泥沼化。いわゆるダルフール紛争で、国連(UN)によると少なくとも30万人が殺害され、200万人以上が避難民となった。(c)AFP