【3月18日 AFP】待ち合わせ場所は、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)のヤルムーク・スタジアム(Yarmouk Stadium)と指定された。イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)の軍事部門イザディン・アルカッサム(Ezzedine al-Qassam Brigades)の訓練キャンプの「卒業式」を取材するために、私と同僚たちはここに集まった。

 2007年にガザ地区を実効支配するようになって以降、ハマスは毎年14歳から21歳の少年たちを対象に夏季キャンプを開き、宗教教育と戦闘訓練を行っている。すべては、宿敵イスラエルに「抵抗」するためだ。

 しかし今年1月に開かれた1週間のキャンプには、昨年イスラエルとの「50日戦争」でガザが壊滅状態になったことを受け、1万7000人という記録的な数の若者が集結した。また少年キャンプを初めてイザディン・アルカッサムの戦闘員たちが指導した。軽重火器を使った集中訓練や奇襲攻撃のテクニックを学ぶと、イザディン・アルカッサムのウェブサイトには書かれている。

 ハマスに言わせれば、子供たちに戦闘技術を教えるのは、イスラエルによるパレスチナ占領に対する正当な「抵抗」の一環だ。一方、人権活動家たちは、戦争で傷ついた子供たちを搾取していると非難し、新たな危険な傾向としてガザの若者たちの軍事化に危機感を募らせている。

■謎に包まれた軍事部門を垣間見る

 私たちは実際の訓練を見ることはできなかったが、ハマスに「卒業式」への参列は許可された。

 ハマスへは定期的に接触している。広報担当者は複数いて、いつでも連絡がつくし、幹部たちも取材を受け入れている。だが、イザディン・アルカッサムは別だ。彼らの広報は1人だけで、覆面で顔を隠したこの広報だけが、ハマスのテレビに出て声明を読み上げる。私たちがイザディン・アルカッサムに取材することはできない。

 ハマスとイザディン・アルカッサムは、彼らと共に「卒業式」を見るには、条件を完全にクリアした記者証がないと認められないと警告してきた。私たちは十分な時間の余裕をもって、これを準備していた。当日もスタジアム周辺を封鎖する警戒ぶりだった。スタジアムの何本も手前の道でハマスの警察に止められ、彼らが発行した記者証の提示を求められた。

 式典は2か所で行われていた。私はガザ市内の式に参列した。もう1か所はガザ南部のハンユニス(Khan Yunis)で、同じ時間帯に催されていた。スタジアムの入り口にはさらに大勢のハマス警察が待ち構えていたが、私はチェックを終えて中に入ることができた。そして覆面をしたイザディン・アルカッサムの戦闘員が何十人も左右に並んでいる間を歩いて、訓練センターへ向かった。

 緊張感が漂う中、私の真後ろにいた戦闘員が横に並ぶ仲間をからかうのが聞こえた。「ちょっと待ってろよ。彼女はおまえにインタビューしたいって言うはずさ」。私は笑いをこらえるのに必死だったが、言われた側の戦闘員はまったくジョークにつきあう気はなく一蹴していた。「黙れ!アラーの許しを請いたまえ!私は絶対に女性と話さない」