■孤独で聡明な少年がひとりたどった道

 ビラーディ容疑者は政治に取りつかれるようになり、インターネットで熱心に調べ始めた。州政府が授業中に使えるように、生徒に1台ずつノートパソコンを支給したため、学校でも調べものを続けることができた。

 その結果、とりわけイラクとアフガニスタンの紛争に関する、欧米諸国の「嘘と欺まん」に嫌悪感を覚えるようになった。「さまざまな土地で活動するイスラム武装組織を支持することには気乗りしなかった私が、暴力をともなったグローバルな革命こそ、世界の病に対する処方箋だと確信するに至り」、「オーストラリアや世界の大半の国々が基盤としている体制すべてを憎悪し、異を唱える」ようになった。

 ブログによると「ますます介入的になっているオーストラリア当局」が出国を認めなかった場合のために、ビラーディ容疑者はオーストラリア国内で爆破事件を起こす「別案」を用意していた。「別の案では、メルボルン一帯で外国の領事館や政治的、軍事的な標的に連続爆破攻撃を仕掛けるはずだった。またショッピングセンターやカフェを手榴弾やナイフで攻撃し、最後は自分の体に巻いた爆発物をカーフィル(非イスラム教徒)たちの中で起爆させようとしていた」

 しかし、爆発物を製造するために化学物質を購入すれば、不要な注目を招くことに気付いた容疑者は、これらの計画は実行せず、こっそり出国できる機会を待った。

 豪モナシュ大学(Monash University)の社会学者、グレッグ・バートン(Greg Barton)教授は、この年齢の若者にしては高度な言葉遣いだと指摘したものの、ブログはビラーディ容疑者が書いたものに間違いないだろうと語る。「実年齢以上に聡明で理想主義の孤独な子どもで、ここへ至る過程のおおむねを自らたどってきたのだろう」

 豪政府によれば、約90人のオーストラリア人がイラクとシリアにおけるISの戦闘に参加しており、政府は自国民の過激化に警戒を強めている。今月初旬にはシドニー空港で10代の兄弟が中東行きを阻止された。(c)AFP/Madeleine COOREY