【3月17日 AFP】米カリフォルニア(California)州にある人気テーマパーク「ディズニーランド(Disneyland)」から感染が拡大した麻疹(はしか)について、その原因が子どもへのワクチン接種が不十分なことにあるとの報告が、16日の米国医師会(AMA)が発行する医学誌「JAMA小児科学(JAMA Pediatrics)」に発表された。

 患者が集中して発生したカリフォルニア州、アリゾナ(Arizona)州、イリノイ(Illinois)州では、はしかワクチン接種を受けた子どもの割合は全体の50~86%にとどまり、研究者らの間で「集団免疫」として知られる状態を形成するために必要な接種率96~99%をはるかに下回っている。

 論文を発表した米ボストン子ども病院(Boston Children's Hospital)などの研究チームは、今回の研究について「はしかワクチン接種率と現在進行中のはしか流行との間の有意な関連性を初めて示した」としている。

 米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)によると、昨年12月28日に始まった今回の流行で、米国内7州の計142人がはしかに感染したという。

 ボストン子ども病院情報科学プログラムのジョン・ブラウンシュタイン(John Brownstein)氏は「現在これほどの数の患者が発生している根本的な理由は、はしかウイルスにさらされた人々のワクチン接種率が不十分なことだ」と語る。

 疫学に計算的アプローチを採用するブラウンシュタイン氏は、はしかを予防する新三種混合(MMR)などのワクチンを提供する場所と人々とをつなぐ助けになるオンラインサービス「ヘルスマップ・ワクチン・ファインダー(HealthMap Vaccine Finder)」の共同創立者の一人でもある。

 同氏は、「われわれのデータが物語っているのは、現在と未来のはしか流行を阻止する方法は予防接種だということ。非常に単純明快だ」と述べ、「各家族が自身と最愛の子どもたちに必ずワクチン接種を行うようになる方向へ、これらのデータが後押しとなることを期待している」と続けた。

 はしかは、非常に感染力が強い病気で、発疹や発熱を引き起こす。脳障害から聴力や視力の喪失など、広い範囲で合併症を発症させる恐れがあり、まれに死に至る場合もある。(c)AFP