【3月16日 AFP】中国北西部・甘粛(Gansu)省で、野生のジャイアントパンダに襲われたのは自治体の責任だとして地元当局を訴えていた男性に、52万元(約1000万円)の賠償金が支払われることになった。

 現地紙・蘭州晚報(Lanzhou Evening News)によると、関全志(Guan Quanzhi)さんがパンダに襲われたのは昨年3月。甘粛省・隴南(Longnan)市の李子ハ(Liziba)村で、地元当局の職員らが村内に迷い込んだ野生のパンダを捕獲しようとしていたところ、このパンダが関さんの所有地に逃げ込んだという。

「泥だらけのパンダが目の前に飛び出してきた」と、関さんは同紙に語っている。足にかみつかれ、居合わせた村民の1人がとっさに上着でパンダの頭を覆って手助けしてくれるまで逃れることができなかったという。関さんは大けがをし、7時間に及ぶ手術を受けた。

 この一件を受け、関さんの息子は地元の森林当局と近くの白水江国家級自然保護区(Baishuijiang National Nature Reserve)を訴えた。同保護区には100頭を超える野生のパンダがいる。

 原告側の弁護士によれば、「交渉」の結果、当局側が賠償金52万元を支払うことで和解が成立した。関さんは今後も手術を受けなければならない可能性があるが、医療費は賠償金でまかなえるとして「この金額に満足している」という。

 ジャイアントパンダは愛らしい外見や、おとなしく笹を食べているイメージとは裏腹に、れっきとしたクマ科の動物で、かみつく力は恐ろしく強い。

 世界自然保護基金(WWF)は、「かわいらしく見えるパンダだが、自分の身を守るときは他のクマたちと同様に」全身の体重をかけて、発達したあごの筋肉と大きな臼歯を最大限活用する、と公式ウェブサイトで説明。「普段は竹を砕くのに使うばかりだが、パンダにかまれれば相当の重傷になる」と警告している。(c)AFP