【3月16日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」は、キューバにあるグアンタナモ(Guantanamo)米軍基地内のテロ容疑者収容施設を模して造ったシリア国内の施設に欧米の人質を拘束し、「模擬処刑」を何度も繰り返していた――。シリアで拉致・拘束された後に解放されたスペイン紙記者が15日、明かした。

 スペイン紙エルムンド(El Mundo)のハビエル・エスピノサ(Javier Espinosa)記者は、2013年9月にシリアで取材中に拉致され、約半年後の14年3月末に解放された。

 エスピノサ記者が15日付のエルムンド紙上で明らかにしたところよると、ISはシリア北部アレッポ(Aleppo)の北方にあった小屋に、11か国のジャーナリストや援助関係者ら23人を拘束し、グアンタナモ収容所を再現しようとしていたという。

 エスピノサ記者は、昨年8月にIS戦闘員に殺害された米国人ジャーナリストのジェームズ・フォーリー(James Foley)氏から聞いた話として、「彼ら(IS)は(欧米人を拘束する)計画を、かなり以前から立てていた。(拘束された)当初、欧米の人質を多数の監視カメラと看守を備えた厳重な収容所に拘束するつもりだと、ISの監視責任者が言っていた」と記している。

 収容施設では人質に対し、模擬処刑が何度も繰り返された。中でも特に残忍な監視役が3人おり、人質たちは「ビートルズ」と呼んでいたという。

 また、監視役の戦闘員からロシア人の人質セルゲイ・ゴルブノフ(Sergei Gorbunov)氏が頭部を銃で撃たれて殺害された写真を見せられ、「お前もいずれこうなる」「お前にやつの死体を掘り起こさせようか。その隣りにお前の墓を掘れるからな」などと脅されたという。2013年10月に行方が分からなくなったゴルブノフ氏が殺害された詳細が判明したのは、これが初めて。

 エスピノサ氏によると、解放から1年間にわたって沈黙を守っていたのは、IS戦闘員から「全てが完了する前に」収容施設の詳細を明かせば、残った人質を殺害すると脅されていたためだという。しかし、一緒に拘束されていた23人のうち15人は解放され、フォーリー氏ら6人は殺害され、米国人援助活動家カイラ・ジーン・ミューラー(Kayla Mueller)さんも先月、米軍主導の空爆で死亡したことが確認されたため、公表を決意したという。

 同じく一緒に拘束されていた英国人ジャーナリストのジョン・キャントリー(John Cantlie)氏は、昨年10月にISのプロパガンダ動画に無事な姿が映っていたのを最後に、安否が分かっていない。(c)AFP