■アサド政権の交渉機会は

 内戦が始まってしばらくは反体制派に敗北を喫したアサド政権だが、レバノンのシーア派(Shiite)原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)やイランの革命防衛隊(Revolutionary Guard)の支援で軍を立て直し、一部地域を奪還するなど攻勢を強めている。

 戦火で荒廃するシリアを席巻したISには、米国主導の有志連合による空爆が圧力をかけている。

 現在のシリア政府は国土の4割と国民の6割を支配下に置き、北部アレッポ(Aleppo)の半分と、ISが制圧し「首都」と称しているラッカ(Raqa)を除くほぼ全ての大都市を掌握している。とはいえ、戦闘終結への道はまだ遠い。

「シリア現政権は、軍事的には優勢を保っていると考えているはずだ」と、米テキサス(Texas)州にあるトリニティ大学(Trinity University)のデービッド・レッシュ(David Lesch)教授(中東史)は言う。「シリア:アサド家の凋落(原題、Syria: The Fall of the House of Assad)」の著作がある同教授は「一方で、アサド政権内でも、2大支援国のイランとロシアの不況の影響で、遠からぬ将来、兵力や財政、資源などが不足してくるという予測は認識されているだろう」

 レッシュ氏は、2016年の米大統領選挙が近づいて米政府のシリア政策が制約を受け始める前に、アサド大統領が国際社会と対話できる環境が整うだろうとの見方を示した。(c)AFP/Sammy Ketz