【3月11日 AFP】英ロンドン(London)で進む新鉄道路線「クロスレール(Crossrail)」の建設工事で、新駅舎予定地にある数百年前の墓地に埋葬されていた3000体あまりの遺骨の発掘が始まった。遺骨は考古学者らによって歴史的検証が行われる。

 遺骨の発掘作業が始まったのは、ロンドン東部にある市営のベドラム(Bedlam)墓地で、シェークスピア誕生から数年後の1569年から1738年まで使用されていた。この間には、ロンドン大火やいつくかの疫病流行が起きている。墓地の名前は、近くにあった世界最古の精神科病院「王立ベスレム病院(Bethlem Royal Hospital)」の通称「ベドラム」にちなむという。

 同プロジェクトでは、現リバプールストリート(Liverpool Street)駅近くに設置される新駅がベドラム墓地下の地層に建設されることから、ロンドン博物館(Museum of London)の考古学チーム60人がシフト体制で週6日、およそ1か月にわたって遺骨の発掘調査を行う。

 遺骨から、当時のロンドン市民の移動パターンや食料事情、生活スタイルなどの解明が期待される。さらには当時流行した疫病菌株の進化についても特定できる可能性があるという。調査を終えた遺骨は、市から東方に位置する墓地に再埋葬される予定。

 他方、新駅舎予定地にある古代ローマ時代の地層からは、当時の道路跡や蹄鉄、骨つぼなどが見つかっている。(c)AFP