【3月9日 AFP】「ビッグベン(Big Ben)」の名で親しまれる大時計台が付属する英国会議事堂は、華麗な新古典主義(ネオゴシック)様式の建築物だが、老朽化が進みネズミが走り回るなど、至急改修を行わなければ「見捨てざるを得なくなる」と議員らが懸念している。

 ビッグベンでは雨天の際には雨漏りがするため、議員たちは紙くず用のごみ箱を使ってしずくを受けている。また凝った石細工の装飾は大気汚染で侵食されている。石綿(アスベスト)による健康被害が常に脅威として存在し、観光客が写真に欠かせない有名な時計台は、直角に対して46センチ傾いている。

 議員たちが使うティールームの周りなどではよく、ネズミがちょろちょろしている姿が見かけられ、議事堂内には、ネズミを見かけたら「通報」できるよう「ネズミ・ホットライン」まで開設された。

 ジョン・バーカウ(John Bercow)下院議長は先週の演説の中で老朽化問題を取り上げ、最終的に改修費には総額30億ポンド(約5470億円)かかると見積もった。さらに今後10年以内に大規模な改修を行わない限り、議事堂は20年以内に永久に使えない状態となり、国会は別の場所へ移動を余儀なくされるだろうと警告した。

 現在の議事堂は、ウェストミンスター宮殿(Palace of Westminster)を利用しており、建物はチャールズ・バリー(Charles Barry)とオーガスタス・ピュージン(Augustus Pugin)の設計で1870年に完成した。国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産に登録されている。(c)AFP/Katherine HADDON