【3月7日 AFP】バングラデシュの税関当局は6日、ダッカ国際空港(Dhaka Airport)に到着した北朝鮮の外交官から金の延べ棒など約27キロを押収したことを明らかにした。外交特権を盾に取り、170万ドル(約2億500万円)相当の金の密輸入を図ったとみられている。

 空港の武装警官と税関職員らは5日夜、シンガポールからの便で到着し、入国しようとした在バングラデシュ北朝鮮大使館のソン・ユンナム(Son Young Nam)一等書記官を呼び止めた。税関当局の幹部がAFPに語ったところによると、「書記官は外交官パスポートを所有し、外交特権が認められていることを理由にバッグの手荷物検査を拒否した」という。

 この幹部によれば、「書記官は4時間以上にわたる大騒ぎの末、手荷物検査を受け入れた。税関当局は金額にして1億3000万タカ(約2億220万円)相当の金の延べ棒や装飾品、合計26.795キロを押収した」。書記官はその後、同行していた駐バングラデシュ北朝鮮大使と共にウィーン条約(Vienna Convention)に基づき釈放されたが、バングラデシュは厳格な密輸取締法を採用しており、税関当局は外務省からの許可が得られ次第、北朝鮮側に通知した上で書記官を訴追する方針だ。

 税関当局は先ごろ、国内の2つの国際空港では違法な金の持ち込みが急増しており、密輸入者が現行犯で逮捕されるケースが頻発していると発表していた。バングラデシュの公式統計によると、税関の情報当局が過去1年10か月の間に押収した金の量はおよそ1トン。それ以前の5年間での押収量は、わずか15キロだった。

 バングラデシュに密輸入される金は大半が湾岸諸国から持ち込まれるもので、警備が甘いおよそ4000キロの国境線を越えてインドに送られている。主にインドが金の輸入税を引き上げたことを受けて、バングラデシュへの密輸が増加したとみられている。(c)AFP