【3月6日 AFP】ナスリン・アブダラ(Nassrin Abdallah)さん(36)の小柄な体と満面の笑みからは、彼女がイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の戦闘員たちをおののかせることができる人物とは思えない。だがナスリンさんは、1月にISからシリア北部の町アインアルアラブ(Ain al-Arab、クルド名:コバニ、Kobane)を解放したクルド人部隊の一つを率いた人物だ。

「コバニでは、女性があらゆる戦地の第一線で残虐な敵と戦っている」。ナスリンさんは先月に仏パリ(Paris)を訪問した際、歓声で出迎えた人々に向けこう語った。

 ナスリンさんは、イラクとシリアの広い範囲を制圧するISとの戦いで、クルド人組織「民主統一党(PYD)」の軍事部門の「司令官」として、男女両方の戦闘員を率いている。

「私たちは住民との約束を果たし、勝利を収めた」。ナスリンさんがこう語ると、聴衆からは割れんばかりの拍手が沸き起こった。

 ナスリンさんによると、シリアとトルコの国境沿いに位置するコバニ解放のために戦った部隊の約40%は女性だ。部隊には、ナスリンさんのように訓練を積んだ戦闘員のほか、子どもをトルコの安全な場所に避難させた後、すぐさま「戦場の姉妹たち」に加わった母親たちもいる。

 ナスリンさんと共に戦ったのは、戦場で伝説的な名声を得たたくましい女性司令官たちだ。コバニ防衛で重要な役割を果たしたナリン・アフリン(Narin Afrin)さんのような女性戦闘員。また、クルド人の消息筋によれば、女性戦闘員のアリン・ミルカン(Arin Mirkan)さんは昨年10月5日、コバニを包囲するIS戦闘員を標的とした自爆攻撃を行い、多数のIS戦闘員を殺害した。クルド当局によると、部隊には4000人の女性戦闘員がいるという。