【3月6日 AFP】英メディアは5日、イングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)ファンによる新たな人種差別的行為が目撃されたと報じた。

 英大衆紙サン(Sun)や英ITVニュース(ITV News)が入手した映像では、チェルシーとトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)が対戦したイングランド・キャピタル・ワン・カップ(Capital One Cup 2014-15)決勝が行われた1日、チェルシーのサポーターとみられる集団が人種差別を叫ぶ様子が、ロンドン(London)市内のユーストン(Euston)駅からマンチェスター・ピカデリー(Manchester Piccadilly)駅までの区間で撮影されていた。

 問題の映像からは1人の男性が、「パリ(Paris)、パリ、パリ、これが俺らのやり方。ネグロ(黒人に対する差別表現)がドアの前にいる」と歌う声が聞こえている。

 この行為は、欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2014-15)のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)対チェルシー戦が行われた先月、チェルシーのサポーターがパリの地下鉄で電車に乗ろうした黒人男性をホームに押し返していた衝撃的な事件を受けてのものとみられる。

 公開された映像には座席だけが映されており、何者かが、「トッテナムは、イディッシュ(ユダヤ人に対する差別表現)だらけ」とトッテナムにはユダヤ人ファンが多いことに言及し、さらに「ジョン・テリー(John Terry)はレイシスト(人種差別主義者)、レイシスト、レイシスト」と歌う様子が流されていた。

 テリーは以前、クイーンズ・パーク・レンジャーズ(Queens Park RangersQPR)に所属していたアントン・ファーディナンド(Anton Ferdinand)に対して人種差別的発言を行い、2012年10月にイングランドサッカー協会(FA)から4試合の出場停止処分が科せられていた。

 報道によれば、この卑劣な合唱によってアジア人女性3人と黒人男性1人が列車を降りたとされている。

 問題の集団のうち、4人は乗り合わせていた警察官により名前と住所を控えられた上で列車から退去させられたが、別の4人は自発的に降車したという。

 英交通警察(BTP)は、「通報によると、集団はほかの乗客に侮辱的な言葉を合唱し、そのなかには人種差別的なものも含まれていたとされている。われわれは現在、監視カメラの映像を確認しているところだ」と述べた。

「しかし、ほかに問題行為を撮影た携帯映像を持つ乗客がいれば通報してほしい。それは捜査にとって、極めて重要な証拠になる」

 チェルシーもまた警察の捜査に協力しており、広報担当者は、「われわれはBTPの調査、及び関与した人物の特定に協力している」と発表した。(c)AFP