【2月26日 AFP】宇宙の初期に形成された「考えられないほど巨大な」ブラックホールを発見したとの研究論文が25日、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。ブラックホールが初期宇宙でどのように成長したかに関する理論を脅かす発見だという。

 中国、米国、豪州などの国際研究チームが発表した論文によると、太陽の120億倍の質量を持つこのブラックホールは、137億年前に「ビッグバン(Big Bang)」で宇宙が誕生してから約9億年後に形成されたという。宇宙の歴史からすると、これは驚くほど短い期間だと研究チームは指摘している。

 論文共同執筆者の一人、オーストラリア国立大学(Australian National University)のフーヤン・ビエン(Fuyan Bian)氏は、声明で「このように巨大なブラックホールがそれほど速やかに形成されたことは、現在の理論で説明するのは難しい」と述べている。

 あらゆる物質を飲み込むブラックホールは、時空内の超高密度領域であり、光さえも抜け出せないほどの非常に強力な重力を持っている。

 恒星やその周囲の物質を飲み込んで増大し、エネルギーを放出する。この現象はクエーサーと呼ばれる明るい天体として地球から観測できる。

 今回発見された特異なブラックホールは、極めて光度が高いクエーサーの中心部に存在する。研究チームによると、宇宙初期の天体としては、これまで発見された中で最も明るい天体だという。

 北半球の空にある天体5億個以上の掃天観測の中からこのクエーサーを今回の観測対象に選んだ理由については、同天体が異常な赤色を示していたからだとしている。(c)AFP