【2月24日 AFP】(一部更新)シリアで少数民族アッシリア人のキリスト教徒少なくとも90人が、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の戦闘員らに拉致されたと、英国を拠点とする非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」が24日、発表した。

 同日、シリアのハサケ(Hassakeh)県にあるアッシリア人の二つの村を、クルド人部隊からISが奪取し、信者たちが拉致されたという。

 襲撃されたのはタル・シャミラム(Tal Shamiram)村とタル・ヘルムス(Tal Hermuz)村。現在、同県の大半は、クルド人部隊とISの支配下に分かれた状態で、最近はシリアのクルド人民兵組織、人民防衛部隊(YPG)が攻勢に出ており、タル・ハミス(Tal Hamis)の街を奪還する作戦の中で、周辺にある24村落を掌握していた。タル・ハミスは、今回ISが奪取した2村の東方に位置する。

 一方、YPGは先月、トルコと国境を接するシリア北部アインアルアラブ(Ain al-Arab、クルド名:コバニ、Kobane)を奪還したのに続き、ハサケ県の隣のラッカ(Raqa)県でも攻勢を強め、19村を掌握している。YPGの作戦は米国主導の有志連合による空爆が支援している。

 ISはシリア国内のキリスト教の教会や礼拝施設を破壊し、支配下のキリスト教徒には「ジズヤ」と呼ばれる人頭税を課している。また先週末には、リビアでエジプト出身のキリスト教徒ら21人を斬首する動画を公開した。(c)AFP