■コバニ上空に8時間

 当局者によると、6か月の任務期間中にISに対して行われた空爆のうち18%はB1が実施した。また重量ベースでシリアとイラク、アフガンに投下された弾薬の43%はB1によるものだった。

 第9爆撃飛行隊の乗員らは、昨年7月に中東に派遣され、アフガンでの任務に向けて準備していた。しかし8月のある夜、B1は滑走路での待機を命じられ、アフガンではなくイラク北部へ行くと告げられた。シンジャル山(Mount Sinjar)で包囲されていたクルド系少数派ヤジディー(Yazidi)教徒向けに、支援物資を投下する米軍機の護衛が目的だった。

 B1は10月までに、苦戦を強いられていたコバニのクルド人を援護するため、頻繁に飛行するようになっていた。飛行時間が4時間となった時点で空中給油を受けてコバニ上空に8時間滞空し、人目に付きやすいことが多いISの戦闘員を探すこともあった。

 標的の位置は乗員が発見するか、クルド人戦闘員から伝えられ、攻撃要請はカタール(Qatar)に置かれた米軍司令部に伝達された。関係者らによると、米軍の前線航空管制官がいなければ、空爆の承認には最大で45分もかかることがあるという。空からの攻撃に慣れていなかったISの戦闘員らは、身を隠すことを学習するまで相当な打撃を受けた。

 B1は2機以上のF15またはF16戦闘機と共に飛行することが多かった。飛行隊の指揮官エド・スマンギル(Ed Sumangil)大佐(40)は「われわれはコバニ上空の航空戦力を1日にほぼ24時間、維持していた」と語った。

 道路脇への爆弾設置や待ち伏せ攻撃を多用する過激派と米軍が戦ってきた過去10年の戦場とは異なり、クルド人治安部隊とISが民間人から離れた場所で従来型の戦闘を展開したコバニにははっきりとした前線があった。前線は日単位、時には時間単位で移動し、クルド人部隊が優勢になっていった。

■戻り始めた光の環

 夜になると、パイロットはコバニ近郊のトルコ国境を確認できた。ミラー少佐によると、トルコ国境は「明るく光っていた」一方、国境のシリア側は暗闇に覆われていた。

 しかし先月、今回の派遣で最後の飛行をした時は状況に変化が見られた。少佐は「戦略上重要な山のうち2か所の周辺に光が見えた。いつも暗い場所だったので、ちょっと信じられなかった」と語った。「突然、山を取り囲む光の輪がはっきりと現れた。光がコバニに戻り始めていた」(c)AFP/Dan De Luce