反プーチンのプッシー・ライオット、初の英語曲で米警察を批判
このニュースをシェア
【2月20日 AFP】ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領を批判する楽曲を演奏してフーリガン行為で有罪となり、2年近く収監された女性パンクバンド「プッシー・ライオット(Pussy Riot)」が、初めて英語で新曲を発表した。標的はプーチン大統領ではなく、暴力的な米警察だ。
プッシー・ライオットは、ロシアでの裁判中に米国から大きな支持を集めていた。新曲は、米ニューヨーク(New York)で白人警官によって窒息死させられた黒人男性、エリック・ガーナー(Eric Garner)さんに捧げる内容となっている。
題名は「息ができない(I Can't Breathe)」。たばこの違法販売容疑で逮捕されたガーナーさんが、警察官に首を背後から腕で絞められ窒息死する寸前に残した最後の言葉だ。
「ニューヨークは暗くなってきた…一息つかなくちゃ」と歌詞は繰り返す。ギターの激しい演奏の中、米パンク・ロックの象徴、リチャード・ヘル(Richard Hell)さんが「息ができない」のフレーズを何度も重ねる。
■ロシアの強権政治と「関連ある」
ミュージックビデオは、「ロシアの春」という銘柄のたばこのパッケージが地面に落ちているシーンから始まり、ロシア警察の制服を着たバンドのメンバー、マリア・アリョーヒナ(Maria Alyokhina)さんとナジェージダ・トロコンニコワ(Nadezhda Tolokonnikova)さんが生き埋めにされる様子が映される。「ロシアの春」とは、ウクライナ東部の分離独立派を支援するロシアの軍事介入を支持する運動のことだという。
また、楽曲が収録されたニューヨークで昨年末に起きたガーナーさんの死に抗議する大規模デモの様子も、ミュージックビデオでは取り上げられている。
全米に怒りを巻き起こしたガーナーさんの事件についてプッシー・ライオットは、ガーナーさんは警察によって殺害された何人もの丸腰のアフリカ系米国人の1人であり、その死とプーチン大統領の強い軍事的衝動の間に関連性を見いだしたと説明している。
プッシー・ライオットは新曲に添えられた献辞で、「この歌はエリックさんと、ロシアから米国に来た全ての人々、国家によるテロ行為に苦しむ全世界の人々にささげます。戦争や国家が支援するあらゆる暴力によって殺害され、首を絞められ、消された人々のための歌です」と述べ、次のように宣言している。
「政治囚と、変革を求めて街頭で闘う人たちに贈る歌です。私たちは、連帯して立ち向かう」 (c)AFP/Shaun TANDON