【2月18日 AFP】英金融大手HSBCのスイスの子会社が富裕層顧客の巨額の脱税をほう助していたとされる疑惑を受け、スイス当局はマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いがあるとして18日、ジュネーブ(Geneva)にある同社の家宅捜索を開始した。

 ジュネーブの検察当局は「HSBCプライベートバンク(HSBC Private Bank、スイス)に関する最近の暴露を受け」、捜索とマネーロンダリングに関する捜査を開始したとの声明を発表した。捜査はHSBCのみを対象としているが、「進展によっては、資金洗浄を行った、あるいは資金洗浄に関与した疑いで個人に及ぶ可能性もある」と述べている。

 通称「スイスリークス(SwissLeaks)事件」と呼ばれる今回の事件で捜査のきっかけとなったのは、ジュネーブのHSBCでIT担当だったエルベ・ファルチアニ(Herve Falciani)元社員が盗み出した大量のファイル。これを入手した仏紙ルモンド(Le Monde)は、国際調査報道ジャーナリスト連合(International Consortium of Investigative JournalistsICIJ)を通じ、世界中の45を超えるメディア機関と情報を共有した。

 今月9日に公開された文書によると、HSBCのスイス部門は200か国以上の顧客の脱税をほう助したとされ、それらの顧客の口座残高の総額は1190億ドル(約14兆円)に上るという。ファイルには不正行為のない人物を含め10万人分の情報があり、世界の政財界の大物や著名人の他、米国の制裁対象となっている人物や、武器や麻薬の密売人なども含まれていた。(c)AFP