【2月13日 AFP】進化論を提唱したチャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)によって初めて研究の対象となったとされる、ガラパゴス諸島(Galapagos Islands)の野鳥フィンチ──この鳥には、200万年前までさかのぼる進化の歴史があることが、遺伝子配列の分析で分かったとする研究論文が11日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。

 世界で最もよく知られた鳥類群集といえるこのフィンチは、1831年に同諸島に寄港したダーウィンの目に留まった。

 ダーウィンは、同諸島に異常なほど幅広い種のフィンチが生息していることに強い印象を受けた。

 ダーウィンは、これらの種が単一種から派生したとする説を提唱。これにより進化論の基礎を築いた。

「ダーウィンフィンチ」や「ガラパゴスフィンチ」などの総称で知られているこのフィンチ種は、現在15種が確認されており、生態学的地位がどのように進化的変化を押し進めるかに関する手掛かりを得るため、詳細な観察が行われている。

 スウェーデン・ウプサラ大学(Uppsala University)と米プリンストン大学(Princeton University)の共同研究チームは論文で、フィンチ全15種と近縁種2種を含む120羽から採取したサンプルの遺伝コードを解読した結果を報告した。

 研究チームの推定によると、フィンチ種の共通祖先がガラパゴス諸島にやって来たのは約200万年前だという。

 さまざまな種類の在来鳥類との異種交配は、「進化の物語」の中で重要な役割を果たし、遺伝子の供給源となる幅広い遺伝子プールをもたらした。

 プリンストン大のピーター・グラント(Peter Grant)氏は「交配は、フィンチ種の進化において決定的な役割を演じてきた上、遺伝的多様性の維持に寄与してきた」と指摘する。

 フィンチ種の重要な特徴は、そのくちばしだ。フィンチのくちばしは、昆虫、植物の種、サボテンの花蜜、イグアナの血などの局所的な食糧資源を活用できるように大きさと形状が進化した。

 くちばしの形をほぼ決めている「ALX1」遺伝子は、興味深いことに、人間の顔や頭蓋骨の発達に関与する遺伝子でもある。(c)AFP