【2月12日 AFP】(一部更新)「報道の自由」は2014年に世界的に大幅に低下し、その一因は「イスラム国(Islamic StateIS)」や「ボコ・ハラム(Boko Haram)」といった過激派組織の活動にあるとする報告書を、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(Reporters Without BordersRSF)」が12日、発表した。

「世界報道の自由度ランキング(World Press Freedom Index)」2015年版では、調査対象の世界180か国・地域で昨年1年間に確認された報道の自由に対する侵害は3719件で、前年比8%増だったと報告している。

 RSFのクリストフ・ドロワール(Christophe Deloire)氏は「非常にさまざまな複数の要因によって、(報道の自由度は)全体的に低下した。情報戦争や、非国家主体による専制君主的な報道統制などが挙げられる」とAFPに述べた。

■中東と北アフリカに「ブラックホール」

 RSFの報告によれば、中東やウクライナでは紛争の当事者が「恐ろしい情報戦争」を展開しており、メディア関係者は殺害・拘束の直接の標的となっているほか、プロパガンダ活動に協力する圧力をかけられたりしているという。

 また、シリアとイラクで活動するISやナイジェリア北部と隣国カメルーンで襲撃を繰り返しているボコ・ハラム、イタリアや南米を拠点とする犯罪組織は、いずれも「脅しと報復を手段とし、勇敢に調査に乗り出したり犯罪組織の宣伝活動に利用されることを拒否したりするジャーナリストやブロガーたちの口を封じている」と、報告書は述べている。

 さらにRSFは、北アフリカと中東には顕著な「ブラックホール」があると指摘。「非国家主体に地域全体が支配され、独立した情報提供者が全く存在しない」地域があると説明している。

 このほか、報告書では宗教を掲げた過激派が神や預言者への敬意が足りないと一方的に断定したジャーナリストやブロガーを標的にする事例を挙げ、「神への冒とくを犯罪とみなすことは、世界の半数近い国において情報の自由を危険にさらす」と訴えている。

■気になる日本の順位は?

 報道の自由度が最も低いとされた国には、イラン、中国、シリア、北朝鮮が含まれる。一方、最も自由度が高い5か国は、北欧を中心に上からフィンランド、ノルウェー、デンマーク、オランダ、スウェーデンとの結果になった。

 香港は、民主派による路上占拠デモ「オキュパイ・セントラル(Occupy Central、中環を占拠せよ)」の間に「警察の職権乱用」があったとの理由で、70位に順位を下げた。

 米国も昨年から順位を3つ下げ、49位となった。内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」などを標的とした米政府の「情報戦争」が理由の1つだという。

 日本は順位を昨年の59位から2つ下げ61位だった。(c)AFP/Marc BURLEIGH