【2月11日 AFP】米国のリサ・モナコ(Lisa Monaco)大統領補佐官(国土安全保障・テロ対策担当)は10日、ワシントンD.C.(Washington D.C.)で講演し、サイバー攻撃情報を扱う新組織「サイバー脅威情報統合センター(Cyber Threat Intelligence Integration Center)」を設置すると明らかにした。

 モナコ補佐官は、サイバー攻撃への対応は2001年の米同時多発テロ事件後の治安対策と同様に行う必要があると指摘。米国家情報長官(Director of National Intelligence)の指揮下に置かれる新組織は、既存の政府機関が収集した外国からのサイバー脅威に関する情報を集約し、脅威に対抗するために必要な情報と手段を米政府の関係機関に提供するという。テロ情報については既に米国家テロ対策センター(National Counterterrorism CenterNCTC)が同様の役割を担っている。

 昨年、米映画製作大手ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(Sony Pictures Entertainment)がサイバー攻撃を受けた事件についてモナコ補佐官は、「経済的利益のためでなく、一人の独裁者が検閲を行い表現の自由の行使を妨害しようとしたという点において、状況を根底から変える出来事だった」と述べた。米政府は同社へのサイバー攻撃を北朝鮮の仕業とみている。

■官民の協力促進を目指す

 これより先にある政府高官は、新組織は「国家に対する多様なサイバー脅威の『点と点をつなげて』その全容を明らかにし、関係各省庁が可能な限りリアルタイムにこれらの脅威を把握できるようにするもの」だと述べていた。

 2011年にサイバーセキュリティー分野の官民協力促進を目指す法律の制定を目指したものの、政府の過剰な監視で国民の自由が侵害されることを恐れる市民団体や新たな官僚主義の創出につながると主張する保守派からの反対の中で成果を出せなかったバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、改めてこの法律の制定に向けた議会対策に乗り出している。(c)AFP/Rob Lever