【2月10日 AFP】オーストラリア東海岸のビーチで9日、日本人サーファーが大型のサメに襲われて死亡した事故を受け、当局は10日もサメの捜索を続けている。同国ではここ3か月で3人が死亡するなどサメの襲撃事故が相次いでいるが、専門家によれば、サメが人間を襲って死に至らしめることは非常にまれだという。

 事故が起きたのはブリスベーン(Brisbane)から南に187キロのバリナ(Ballina)近郊にある、観光客に人気のシェリー・ビーチ(Shelly Beach)。現在は周辺のビーチも含めて閉鎖されている。

 事故を受けてバリナのデービッド・ライト(David Wright)市長は「背後から現れたサメが、彼のサーフボードと両脚にかみついた。恐ろしいことが起きてしまった」と述べた。

 目撃者によると、襲撃したサメは体長3~4メートルで、おそらくホホジロザメだという。

 ニューサウスウェールズ(New South Wales)州政府の専門家は現場に向かい、事故以来行方が分かっていないサメの捜索にあたっている。

 オーストラリアでのサメの襲撃による死亡事故は昨年12月以来、今回で3件目。過去1年間ではさらに3人が死亡したとみられており、またサーファーが両腕の一部を失うなど、複数の負傷者が出ている。

 豪サザンクロス大学(Southern Cross University)のサメの専門家、ダニエル・ブシェール(Daniel Bucher)博士は、サメの個体数が増えた証拠はなく、最近のバリナでの雨量の増加によって、サメがエサを求めて河口に近づいてきた可能性を指摘した。

「運のようなものだ。ほとんどないことだが、たまに全ての要素がそろってしまう」

 また、シドニー(Sydney)のタロンガ動物園(Taronga Zoo)のサメ専門家、ジョン・ウエスト(John West)さんは、人口が増加し、海岸沿いで暮らす人が増えることによって、サメに遭遇する可能性が高まるとの見解を示した。

 ウエストさんは電子メールで、「オーストラリアの大型のサメの個体数が増えたという科学的な裏付けはない」「サメが人にかみつくこと、そして大きなサメが人にかみついて死亡させることは、非常にまれだ」と述べ、災難を大局的な視点で見る必要があると指摘した。(c)AFP