本人は同意?「アラバマ物語」著者の新作めぐり議論沸騰 米
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【2月10日 AFP】1960年の小説「アラバマ物語(To Kill a Mockingbird)」で知られる米女性作家、ハーパー・リー(Harper Lee)氏(88)の第2作目が出版されると出版大手ハーパーコリンズ(HarperCollins)が発表してから1週間が経過したが、あまり公に姿を見せることのないリー氏の精神状態が「しっかりとしている」のかをめぐり激しい論争となっている。
新たに出版されるのは、およそ60年前に執筆された「Go Set a Watchman」。「アラバマ物語」の続編に当たるもので、共通の登場人物も多く描かれている。この原稿は昨年、弁護士のトーニャ・カーター(Tonja Carter)氏によって発見された。
しかし、2007年に脳卒中を患い、新作の出版はもうないとしばしば口にしていたリー氏。長期間忘れられていた原稿が日の目を見ることを本当に喜んでいるのだろうか?
米国南部の文化が専門の米フロリダ州立大学(Florida State University)のダイアン・ロバーツ(Diane Roberts)教授は、2作目を出版しないと決めた際、リー氏はこの原稿の存在などすっかり忘れていたのだろうと話す。
また、リー氏がプライバシーを断固として主張し、宣伝活動やトーク番組への出演、インタビューなどを拒否し続けたことから、人々はそれぞれの臆測でその「隙間」を埋めることになってしまったと指摘した。
リー氏は、視力が弱く、聴覚障害もあるとされており、2007年からはアラバマ(Alabama)州モンロービル(Monroeville)の介護施設で生活している。
ゴシップサイト「ゴーカー(Gawker)」は昨年7月、カーター弁護士の話として、リー氏が時々、内容を理解せずに書類に署名することがあると報じていた。
カーター氏は、厳格な保護者役だったリー氏の姉のアリスさんが昨夏死去して以後、同氏の窓口としての役目を担っている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の取材に対しカーター氏は文章で、リー氏は自分が操られていると噂されていることについて「非常に傷つき、侮辱されたと感じている」と語り、「彼女は非常に強く、自律した賢い女性。失われていた長編小説が発見されたことを喜んでいるはずだ。それどころか、自らへの信頼を自分で擁護し決断を下す務めに今も取り組んでいる」と述べた。
カーター氏は先週、新作出版をめぐっては「ものすごく幸せだ」とするリー氏の声明を発表していた。
米メディアはこの話題に飛びつき、リー氏の友人や知り合いと称する人々が、彼女は今も明敏で出版を喜んでいるとした意見や、反対に疑義を呈して憶測に基づいた発言などを引用・報道した。
米公共ラジオ局NPRは、新作出版の発表前日にリー氏のもとを訪れた友人のウェイン・フリント(Wayne Flynt)氏の「彼女はしっかりとしていた」との発言を報じた。リー氏についてフリント氏は「ちゃんと話して聞かせてあげれば現状を理解することはできるよ」と話し、状況を把握した上で同意したのかとの質問に対しても「もちろんそうだ。彼女は状況を把握し同意を与えることができる」と述べている。
全304ページのハードカバー版で今年7月に出版される「Go Set a Watchman」。すでに予約受け付けが始まっており、米インターネット小売り大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)のベストセラーランキングで1位を獲得している。(c)AFP/Jennie MATTHEW