【2月10日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は9日、米ホワイトハウス(White House)で、訪米したアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相とウクライナ危機について協議した。オバマ大統領はウクライナへの武器供与の可能性は排除しなかったものの、最終判断を下す前にドイツが主導する停戦努力が奏功するかどうか注視したいという意向を示した。

 メルケル首相との会談の中でオバマ大統領は、ウクライナで10か月続いている流血の事態の終結に向けたロシアとの合意達成に懐疑的な見方を示した。

 欧米が科した厳しい経済制裁により、ロシア経済は大きな打撃を受けているが、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)政権にウクライナの親露派武装勢力への支援と武器供与を思いとどまらせるには至っていない。

 オバマ氏は、「一連の外交努力によってロシアが払わせられる犠牲が大きくなり、プーチン氏が外交的解決を選択肢として優先するようになることを期待している」と述べたものの、「成功するかどうか予断は避けたい」として、「成功しなければ、ロシアに払わせる犠牲をさらに大きくすることになる。われわれは容赦はしない」と述べた。

 オバマ大統領はさらなる制裁に加え、議論を呼んでいる「殺傷能力のある防御力」の支援についても検討中であることも明らかにし、防御用兵器と、ウクライナが親露派武装勢力に戦いを仕掛けることを可能にする攻撃用兵器を区別していることを示唆した。

 これに対しメルケル首相は、ウクライナは、はるかに強大なロシア軍部隊と戦って勝てる見込みはなく、紛争のエスカレートにつながりかねないとしていかなる武器供与についても反対する姿勢を示した。

 ウクライナ、ロシア、ドイツ、フランスは現在、11日に予定されている4か国首脳会談に向けて詳細の調整を行っている。欧州連合(EU)は、ベラルーシの首都ミンスク(Minsk)で開催されるとみられている会談を見守るため新たな制裁の発動を当面先送りすると決定した。(c)AFP/Andrew BEATTY, with Max Delany in Kiev and Frank Zeller in Berlin