【2月6日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」は、これまで公開した映像のなかでも最も残虐なものであるヨルダン空軍パイロット焼殺動画を見せることで、アラブ諸国や西側諸国を脅し、イスラム国に対する攻撃を停止に追い込もうとしている。既に斬首や投石による殺害などの残虐行為によって知られるイスラム国は、今回のパイロット虐殺によりさらなる優位に立とうとしていると、専門家らは指摘している。

 過激派組織の活動に詳しいローマン・カイエ(Romain Caillet)氏はこの映像について、「有志連合に対するメッセージだ。『おまえの兵士らは、さらにおぞましい映像に登場することになり、おまえの国の世論に長期にわたるダメージを与える』」と述べた。

 ヨルダン軍パイロットのモアズ・カサスベ(Maaz al-Kassasbeh)中尉は、米国主導の有志連合による対イスラム国の空爆に戦闘機パイロットとして参加していたが、昨年12月にシリアで墜落し、イスラム国に身柄を拘束された。ヨルダンは、カサスベ中尉の解放と引き換えに、ヨルダンが収監中のサジダ・リシャウィ(Sajida al-Rishawi)死刑囚を釈放する用意があると表明していた。

 だがヨルダンの国営メディアは3日、カサスベ中尉は先月3日に殺害されていたと報じたことから、イスラム国は最初から人質交換に応じるつもりはなかった可能性が示された。アブダビ(Abu Dhabi)拠点の研究所、デルマ・インスティトゥート(Delma Institute)のハッサン・ハッサン(Hassan Hassan)氏は、イスラム国は人質交換よりも、殺害による衝撃とプロパガンダ効果を選んだと指摘する。