【2月6日 AFP】競泳の朴泰桓(Tae-Hwan Park、パク・テファン)がドーピング検査で陽性となった一件で、韓国の検察当局は5日、注射を施した医師を起訴したと発表した。医師は禁止薬物のテストステロン(testosterone)が含まれていることを本人に知らせなかった疑いが持たれている。

 五輪で4つのメダルを獲得している朴は、2014年7月に医師から注射を施され、第17回アジア競技大会(17th Asian GamesAsiad)前の9月に提出した尿サンプルが、薬物検査で陽性となった。

 韓国の聯合(Yonhap)ニュースが伝えたところによると、検察の広報担当者は当該医師の容疑は過失致傷だとしており、身元はキムという名字だけを明かしている。

 1月に今回の一件が判明すると、朴のマネジメント会社は医師を非難する声明を発表し、注射を行った医院に対する調査が始まった。

 広報担当者によれば、禁止薬物は入っていないかと注射前に念を押した朴に対し、医師はまったく心配する必要はないと答えたという。

 検察は、テストステロンが禁止薬物であることを医師が知らなかった可能性を認めた一方で、投与する薬に含まれるすべての物質と、考えられるリスクを確認する義務があるとしている。

 朝鮮日報(Chosun Ilbo)によれば、朴は無料で受けていた「アンチエイジング」治療の一環として、注射を施された。

「マリンボーイ(Marine Boy)」のあだ名を持つ朴は、2008年の北京五輪で、400メートル自由形で金メダル、200メートル自由形で銀メダルを獲得し、韓国に初めて五輪の競泳競技のメダルをもたらした。

 朴は4年後のロンドン五輪でも2種目で銀メダルを獲得し、2007年と2011年の世界水泳選手権でも400メートル自由形で金メダルを獲得している。

 しかしながら、このところは当時の輝きを取り戻せておらず、昨年9月に行われたアジア競技大会では、自身の名を冠したプールでタイトルを一つも獲得することができなかった。

 今回の件については、2月27日にローザンヌ(Lausanne)で行われる国際水泳連盟(FINA)の会合で取り上げられる。(c)AFP