【2月4日 AFP】香港(Hong Kong)で昨年2か月以上にわたって続いた路上占拠が12月に終結した後、初めての民主派による抗議デモ行進が今月1日に行われたが、参加者は当初見込まれていたよりもはるかに少なく、人々が「デモ疲れ」に陥っており、民主派にとっては改革推進に向けた新たな長期戦略が求められていることが示された。

 1日のデモの参加者は、民主派の運動のシンボルとなった黄色い雨傘を掲げて、香港中心部をゆっくり練り歩いた。参加者数は、主催者側によると1万3000人、警察発表は8800人で、予想されていた5万人をはるかに下回った。昨年の最盛期には10万人に達していたデモと路上占拠の拠点は、12月に警察によって強制排除されている。

 中国政府は、2017年に行われる香港の次期行政長官選挙を「普通選挙」で行うと約束しているが、候補者は政府の意を受けた指名委員会によって選定するとしており、民主派はこれを「偽の民主主義だ」と反発している。しかし、デモを行っても、政府から何も譲歩を引き出せない状況の中、民主派の支持者の一部はデモを行うことに意義があるのか、疑問を持ち始めている。

■民主派は具体的な行程表を示せるか

 香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)の政治評論家ウィリー・ラム(Willy Lam)氏は「中央政府は非常に賢くゲームを進めている。彼らは大半の香港の人々に、『オキュパイ・セントラル(Occupy Central、中環を占拠せよ)』の運動を再びやっても、中央政府を揺さぶるには十分じゃないと思わせている」と分析する。

 香港の世論は、中央政府による行政官選挙改革法案を年内に香港立法会(議会)にいったん提出した後に改善を求めるべきか、中央政府案を丸ごと拒否するかで意見が分かれている。ラム氏は民主派側が「具体的な行程表」を示せば、世論の支持の取り付けに役立つだろうという。

 コンピューター・プログラマーのロバートさん(33)はAFPの取材に応え、「街頭の抗議行動で効果がないなら、(民主派の)運動は違った方法を取るべきだ」と話した。ロバートさんは路上占拠には毎回、参加していたが、1日のデモ行進には加わらなかった。「行く気が湧かない。路上占拠は私がこれまで行った中で一番極端な手段だったが、それでも何も成し遂げられなかった」

■眠れる虎

 政治評論家のマイケル・デゴライヤー(Michael DeGolyer)氏も、現況では街頭デモは効果がないと考える。しかし香港市民は、香港政府が選挙制度改革法案を議会に提出し、それで何が起こるかを注視していると指摘した。

 香港の民主派運動は「過渡期」にあると話すのは香港中文大学の政治学専門家、イワン・チョイ(Ivan Choy)氏。「デモの主催者や支持者は休憩し、次の行動に備える必要がある。主催者は今後の行動を検討しているはずだ。これまでの平和的な抗議デモでは、もはや引き付けられない人々がいる。彼らはより過激な抗議行動を選ぶかもしれない」と言い添えた。(c)AFP/Laura MANNERING, Dennis CHONG