【2月3日 AFP】国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)前専務理事(65)の売春あっせん事件の初公判が2日、フランス北部リール(Lille)の裁判所で開かれた。初日の公判で弁護側は、大統領候補とも目されていた同被告への嫌疑が当時の政府の命令で秘密裏に行われた捜査に基づいたものだったと主張するなど、政治的陰謀を示唆する弁論を繰り広げた。

 経済学者として華やかなキャリアを歩んでいたストロスカーン被告は2011年、米ニューヨーク(New York)のホテル客室係に性的暴行を加えたとして逮捕され失脚した。この日始まった公判では、同被告がある売春組織で果たしたとされる中心的役割をめぐる審理が3週間にわたり続く予定。

 かつて世界の最有力者の一人とみなされていた同被告は、高級ホテルの支配人や売春婦、警察、売春あっせん業者といった、事件の当事者とされる面々に並んで被告席に座った。

 この事件では14人が訴追されている。うちストロスカーン被告を含む一部の被告の弁護士らは、公式な捜査が始まる8か月前の2010年6月の時点で、当時のフランソワ・フィヨン(Francois Fillon)首相が率いる政府の指示で一部の被告が通話内容を盗聴されたと訴えていることに基づき、公訴の提起を無効とするよう求めている。これについて裁判長は、この秘密の捜査に関しても公判内で審理していくことを明らかにした。

 この公判では、ストロスカーン被告の関与が疑われている乱交パーティーと高級売春の生々しい詳細が明らかにされるとみられる。被告が有罪と認められれば、最高で10年の禁錮刑と150万ユーロ(約2億円)の罰金刑が科される可能性がある。(c)AFP/Fran BLANDY