■過去を振り返らずエレガンスを表現

「本コレクションを一言で表すなら、『テクノ・サルトリア』という概念になるでしょう」とクリス。「ディオールらしい職人技が光り、そのノウハウがあるから『サルトリア』。一方で、ダイナミックで非常にスポーティーという意味では『テクノ』の要素も含んでいます」

 クリスがイメージしたのは未だ出会ったことのない架空の男性像。「自分が過去に会った人ではなく、これから会ってみたい人をイメージして作品作りをしました」と語る。それゆえに、自分の中のインスピレーションを膨らませるのには苦労したという。「エレガンスについて語る時、人々は昔を振り返ろうとします。しかしそれこそが今回私が絶対に避けようとしたことなのです」

 一方で、彼は今回のコレクションがあらゆるマーケットで成功することを確信している。今季のコレクションで全身を固めても、手持ちの服と合わせてもうまくマッチするからだ。特にデニムをベースにしたワードローブならなおさらだという。

「デニムを使うというのは、私にとってはスーツにモヘアを使うような感覚ですね。今では誰もがデニムを着ていますし、ごくごく一般的なものです。ですが着てみると、やっぱりクールなんです。私は今回それをエレガントなコンテクストの中に取り込みたかったんです」