【1月26日 AFP】人質に取っていた湯川遥菜(Haruna Yukawa)さんの殺害を認めたイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が、もう1人の人質、後藤健二(Kenji Goto)さん解放の条件として釈放を要求しているサジダ・リシャウィ(Sajida al-Rishawi)死刑囚(44)は、ヨルダンで2005年に起きた同時爆破事件で自爆に失敗し、同国で死刑判決を受け収監されているイラク人の女死刑囚だ。

 リシャウィ死刑囚は、2005年11月9日にヨルダンの首都アンマン(Amman)でホテル3か所が標的となった同時爆破事件に関与したとして、2006年に死刑判決を受けた。事件では60人が死亡し、中東諸国の中でも情勢が安定していることで知られていたヨルダンには衝撃が広がった。

 事件ではリシャウィ死刑囚の夫だったアリ・フセイン・シャマリ(Ali Hussein al-Shammari)容疑者を含めイラク人3人が、それぞれ別のホテルで自爆。なかでもシャマリ容疑者が自爆したラディソンSAS(Radisson SAS)ホテルでは、結婚式の最中だったために最も多くの犠牲者が出た。市内のホテル2か所でも、ほぼ同時に自爆攻撃が起きた。犠牲者のほとんどはヨルダン人だった。

 事件から4日後にリシャウィ死刑囚が逮捕されると、ヨルダン当局は、自爆攻撃を実行するために夫とともにヨルダンに入国したと供述するリシャウィ死刑囚の映像を、何度も国営テレビで流した。

 頭に白いスカーフを巻いた姿で映像に写るリシャウィ死刑囚は、黒く丈の長いローブの上に巻き付けた自爆ベルトをカメラに向かって見せ、冷静に犯行計画を説明。最後の段階になって自爆ベルトを爆発させられなかったと告白している。

 また夫が自爆犯の一人であることを認め、イラクから偽造パスポートでヨルダンに入国したことや、爆発物の起爆方法を夫から教えられたと話している。

 リシャウィ死刑囚の裁判は2006年4月に開廷。3か月後にテロ攻撃に共謀した罪で死刑判決が下された。

 この裁判では、事件で犯行声明を出したヨルダン生まれの「イラク聖戦アルカイダ組織(Al-Qaeda in Iraq)」指導者、アブムサブ・ザルカウィ(Abu Musab al-Zarqawi)容疑者も起訴されたが、同容疑者は同年6月に米軍の空爆で死亡した。リシャウィ死刑囚の兄弟はザルカウィ容疑者の側近を務めていたが、やはりイラクで死亡している。(c)AFP