【1月23日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が日本人2人を人質に取り、身代金を支払わなければ殺害すると脅迫したことは、日本がその経済的な豊かさと米国との同盟関係によってイスラム武装勢力の標的になっていることを改めて明確に示したと専門家たちは指摘している。

 安倍晋三(Shinzo Abe)首相は、イラクとシリアで戦闘を繰り広げているイスラム国から逃げてきた難民が流入している国々への財政支援を表明。イスラム国はこの日本の支援に絡めて身代金を要求している。中東情勢に詳しい放送大学(Open University of Japan)の高橋和夫(Kazuo Takahashi)教授は、この支援はあくまで苦境にある難民を救うための人道目的であることを強調すべきだと言う。

 日本政府はすぐに身代金を払うと言われている点にイスラム国が付け込んだ可能性もあると指摘されている。しかし、イスラム国にとっては身代金よりも注目を集めることのほうが重要だったという見方もある。

 公益財団法人中東調査会(Middle East Research Institute of Japan)の金谷美紗(Misa Kanaya)研究員は、イスラム国にとって身代金はおそらく第二の目的にすぎず、第一の目的は世界の注目を集めることだったと指摘し、イスラム国は安倍首相の中東歴訪に合わせて、日本を米国が主導する反イスラム国有志国の一員とみなしているというメッセージを送ったのだと解説した。

 安全保障問題に詳しい帝京大学(Teikyo University)の志方俊之(Toshiyuki Shikata)教授も、イスラム国の世界観は「欧米と非欧米の対立」ではなく「敵か味方か」というものだと指摘して、日本人殺害予告の目的は注目を集めることだったという見方を示した。