【1月20日 AFP】カナダ軍の特殊部隊がイラク国内でイラク軍を訓練していたところ、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」から攻撃を受け、交戦していたことが分かった。カナダ軍特殊部隊の指揮官が19日、定例記者会見で明らかにした。欧米の軍部隊とイスラム国の地上戦が確認されたのは初めて。

 カナダ軍特殊部隊の指揮官によると、最前線から数キロメートル離れた場所でイラク軍を訓練していたカナダ軍の特殊部隊は、迫撃砲と機関銃で攻撃されため自衛のため反撃し、イスラム国の戦闘員を殺害したという。交戦があったのは過去7日以内だったという。

 作戦を図上で検討したカナダ軍部隊とイラク軍幹部らが実際の場所で作戦を確かめようと最前線に近づいたところ、すぐに迫撃砲と機関銃で攻撃された。カナダ軍部隊は狙撃銃で反撃し、迫撃砲と機関銃の両方の脅威を無力化したという。カナダ軍に負傷者はなかった。

 米国がシリアでイスラム国に対して人質救出作戦を実施したが失敗したと報道されたことはあったが、これまでは欧米諸国の軍の部隊がイスラム国と地上で戦闘を行ったと公式に確認されたことはなかった。

 米軍が主導する有志国は昨年からイラクとシリアでイスラム国に対する空爆を実施している。カナダはイラクでの作戦にのみ参加している。

 カナダは昨年11月、イスラム国への空爆のため航空部隊などから約600人と戦闘機6機などの航空機を派遣した。この他に特殊部隊69人がイラク軍の訓練に当たっている。特殊部隊は戦闘には参加しないことになっており、カナダ特殊部隊指揮官によると、ほとんどの訓練は最前線からかなり離れた場所で行われているという。カナダ議会が任務延長を議決しない限り、イラクでの任務は今年4月に終わる予定。(c)AFP