【1月16日 AFP】フランスのベルナール・カズヌーブ(Bernard Cazeneuve)内相は、先週のパリ(Paris)のユダヤ系食料品店襲撃事件で人質たちを助け、「ヒーロー」と呼ばれたマリ人男性、ラサナ・バシリー(Lassana Bathily)さん(24)に、フランス国籍を与えると発表した。

 カズヌーブ内相は声明でバシリーさんの「勇敢さ」を称賛し、20日の式典でバシリーさんに国籍を与えると述べた。バシリーさんは2006年からフランス在住で、昨年7月にフランス国籍取得を申請していた。

 バシリーさんは事件のあったパリ東部の食料品店の従業員で、アメディ・クリバリ(Amedy Coulibaly)容疑者が9日に人質をとって店内に立てこもった時、店内にいた買い物客たちを冷蔵室に集め、冷蔵機能を切り、扉を閉じて人々を守った。

「銃声が聞こえ、同僚や買い物客が走って行くのが見えた」と、バシリーさんは振り、「『来い、来い』と伝え、冷蔵室の中に入れた」と語った。

 バシリーさんは、搬入用のリフトを使って外に脱出しようと提案した。だが誰もその危険をおかしたくなかったので、バシリーさんが一人で脱出し、警察官を呼び止め、建物内の情報を伝えた。事件解決を導いた警察の特殊部隊の突入に不可欠な情報だった。

 敬けんなイスラム教徒のバシリーさんの行動は多くの人に称賛され、バシリーさんの国籍取得実現を求めるオンライン署名サイトには22万人分の署名が集まった。

 バシリーさんは自らの行動について、共通の敵に脅かされている他人に対して、人間ならば誰でもしなければならない行動だと語る。

「私たちは兄弟だ。ユダヤ教か、キリスト教か、イスラム教かの問題じゃない。私たちはみんなで同じ船に乗っている。危機の時は互いに助け合わなければならない」と、バシリーさんは、仏テレビ局BFMTVに語った。(c)AFP