■「並はずれたお尻」はいかが?

「息をのむようなボディ」が自慢のシャロレー種の雄牛シラノはどうか?しかし、仏南西部のブロンド・ダキテーヌ種で「田舎出身だがパリジャンの優美さ」を持つアーレクインも捨てがたい。クリーム色の雄牛ユースカディは「金髪好きの雌牛」を標的にし、ブレズは「並はずれたお尻」が自慢だ。

 しかし残念ながら、雄牛のバリトンと雌牛のデジレ(またはアニータかアンリエット)の恋は、長いお散歩デートやフランスの牧草地での情熱的瞬間がない、バーチャルなものに終わるようである。

 フロベールさんがひとたび交配させる牛の選択をすると、物事は突如として臨床的なものに変わり、選んだ雄牛の精子が彼のもとに配達され、それを使って人工授精が行われる運びとなる。

 バイオテクノロジーを活用した人工授精で高品質の家畜の生産を支援するシャロレー・ユニバース(Charolais Univers)のパスカル・スーラ(Pascal Soulas)氏は、肉の価格が下がる中、家畜の遺伝的な進歩によって畜産農家は「利益になり、効率が極めて高く、市場に合った家畜」を繁殖させることが可能になったと話す。「近年では、規模は2倍になったものの年老いた両親の跡を継いだ息子が1人で経営している畜産農場も多いのです。そのようなケースでは、農場経営者や獣医が介入しなくても出産できる扱いやすい牛が必要になってきます」

 輸送や取り扱いが容易になるように角が生えないように交配された雄牛も畜産農家にとって選択肢の1つだ。上記のウェブサイトを通じて、生まれてくる子牛の性別が事前に決まるようにあらかじめ分別された精子を入手することもできる。

 このウェブサイトは「フランス流牛の交配術」を世界に広げるため、将来的に英語、スペイン語、イタリア語、中国語版も作られる見込みだ。(c)AFP/Karine Albertazzi