【1月14日 AFP】ロシア政府は、混乱する国内経済が同国の宇宙計画に打撃を与えている状況を受け、国際宇宙ステーション(International Space StationISS)利用の先行きに関する判断を先送りにした。ロシア宇宙庁(Roscosmos、ロスコスモス)の情報筋が13日、AFPに明かした。

 米航空宇宙局(NASA)は、ISSの運用を2024年まで継続する計画を発表しているが、一方のロシアはISSへの資金拠出を2020年に停止したい意向を表明している。米スペースシャトル計画の終了以降、ロシアは宇宙飛行士をISSに運ぶことができる唯一の国となっている。

 匿名を条件にAFPの取材に応じたロスコスモスの情報筋の話によると、ロシア政府は、年内に予想される新たな長期宇宙計画の策定まで「ISSに関して何の決定も下さない」という。

 ロシアは、「宇宙実験室」であるISSの先行きに関する決断を昨年12月に行うことになっていた。1998年に軌道に投入されたISSは現在、老朽化が進んでいる。

 ウクライナでの紛争をめぐって緊張が高まり、米露間の関係が悪化する中、宇宙開発は両国がいまだ積極的に連携している唯一の分野となっている。

 ロスコスモスは、ロシア通貨ルーブルの暴落に対応して、2016年~2025年の宇宙計画の見直しを余儀なくされている。

 宇宙の商業・軍事利用に関するニュースサイト、スペースニュース(Space News)のイーゴル・マリニン(Igor Marinin)編集長は「ISSへの参加を今後も続けるか、独自の宇宙ステーションを建設するか、それとも月探査計画を進めるかについて、ロシアは決断を迫られている」と話す。

 また、ロシア紙コメルサント(Kommersant)は、欧米諸国の制裁措置と原油価格の下落がきっかけとなって起きたルーブルの大幅な変動と経済危機により、ロスコスモスに充てられる予算の見通しが不透明となり、ロシア政府のISSに関する決定は今年春まで先送りにされたと伝えている。

 これに対して、ISSが「ロシア抜きでは、機能を果たすことは不可能だ」とマリニン編集長は指摘した。

 反欧米を声高に訴えることで知られるドミトリー・ロゴジン(Dmitry Rogozin)副首相は昨年5月、同国はISSの利用を2020年までのみ計画しており、それ以降は「それらのリソースを他の有望な宇宙計画に投じる」ことを選択する可能性もあると述べていた。

 ISSには世界16か国が参加しており、資金援助の大半はロシアと米国が提供している。欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)は2020年まで、ISSへの資金供与を続けることを確約している。(c)AFP