■危険な新世代

 クアシ兄弟が予期させるのは、過激ながらも明晰な思考回路を持ち、武器の扱いに精通した若者たちという、危険な新しい世代の登場だと、専門家らは指摘している。

 仏政府機関の外国情報要員だったアラン・シュエ(Alain Chouet)氏は、2012年3月に仏南西部トゥールーズ(Toulouse)のユダヤ人学校などを襲撃し警察との銃撃戦の末に死亡したモハメド・メラ(Mohamed Merah)容疑者とクアシ兄弟を比べ、「非常に懸念されるのは、われわれが論じている対象はもはやモハメド・メラのように精神を病んだ人物ではないという点だ」と述べる。

「彼らは訓練され落ち着いていたが、その度合いは(銀行の)武装輸送車を軍事用の武器で襲撃する郊外の悪人集団と同じ程度だ。われわれが目にしているのは、強盗行為に使われるような手段が、他の何か、つまりテロリズムに応用されるようになるという、危険な転換だ。つまり、さらに多くの(テロリスト)候補がいるということで、これは非常に懸念すべき事態だ」とシュエ氏は警告する。

 情報活動関連の仏シンクタンク「CF2R」のエリック・デネセ(Eric Denece)所長も、今回の事件で示された「攻撃手法の格段の進化」は真似ることが難しいものではないと危惧する。デネセ氏は「われわれが知るべきことは、数日あればカラシニコフ銃の扱い方や、武器を持ったときの適切な動き方を訓練できるということだ」と述べた。(c)AFP/Michel MOUTOT